1Gbpsの光回線を契約しているのに、なぜか体感が遅い。
Wi-Fiが不安定、有線でも伸びない。いつの間にか社内・自宅ネットワークがモッサリしてきた。
こういうとき、原因はプロバイダでも回線でもなく、
Wi-Fiルータ(AP)のつなぎ方にあるケースが本当に多いです。
うちも情シスがない会社なので、過去に「詳しい人が好きにいじって、後任が誰も分からない」拠点がありました。
そこで私が実際に、ノーコストで5〜10倍くらい体感を改善できた話をベースに、
初心者でも再現しやすい形でまとめます。
結論:遅さの犯人は「Wi-Fiルータのモード設定」と「DHCPの二重化」
いきなり結論です。
ネットが遅いとき、まず疑うべきはこの2つ。
- 単体ルータがあるのに、Wi-Fiルータを「ルータモード」のまま挿している
- DHCPが二重化して、IPアドレスの配布がぐちゃぐちゃになっている
この状態だと、Wi-Fiだけでなく有線まで遅くなったり、
Pingが跳ねたり、通信が不安定になったりします。
「なんか遅い」「たまに切れる」の正体、だいたいこれです。

実際に私が体験した某社内のネットワーク速度。1Gbpsの光回線なのに激遅です。
まず押さえる:Wi-Fiルータは3つの顔を持っている
市販のWi-Fiルータには、だいたい次のモードがあります。
- ルータモード:インターネット接続もWi-Fiも全部やる
- ブリッジ(AP)モード:Wi-Fiだけ提供する
- 中継器モード:電波を受けて、別の場所へ中継する
家庭で「ONU直下にWi-Fiルータ1台」ならルータモードでOK。
しかし、会社や拠点で単体ルータ(YAMAHA RTXなど)が既にある場合、
Wi-Fiルータは基本ブリッジ(AP)モードにします。
ちなみに弊社では拠点ルータはRTXシリーズで統一しています。
RTX830クラスでも安定性は抜群で、拠点間VPNも扱いやすいです。
よくある原因①:単体ルータがあるのにWi-Fiルータを「ルータモード」で使っていた
これは実際に、本社で起きていました。
単体ルータがすでにプロバイダ情報を持ってインターネット接続しているのに、
下流のWi-Fiルータにも同じID/PWが入っていて、ルータモードで起動していた。
当然、Wi-Fiルータ側は認証が通らないので、
接続を何度も繰り返し試みます。
これが地味にネットワークに負荷をかけて、
体感が悪くなっていました。
対処:Wi-Fiルータをブリッジ(AP)モードにする。
まずはこれ。
よくある原因②:DHCPが二重化して「IP配布」が混乱していた
今回いちばん言いたいのは、こっちです。
例えば、
- 単体ルータ:192.168.10.xxx を配布
- Wi-Fiルータ:192.168.0.xxx を配布
- しかも両方ともDHCPがON
この状態になると、端末はどちらからIPをもらうかで挙動が不安定になります。
初心者向けに一言で言うなら、
「同じ部屋に“住所配り係(DHCP)”が2人いると、配達が事故る」
という話。
対処:DHCPを動かすのは原則「単体ルータ1台だけ」。
Wi-Fiルータ側はDHCPをOFF。
設定は10分:AP(ブリッジ)運用の最短手順
メーカーで画面は違いますが、やることは同じです。
パターンA:管理しやすい(おすすめ)
- 単体ルータのIP帯を確認(Windowsなら ipconfig)
- Wi-Fiルータをブリッジ(AP)モードへ
- Wi-FiルータのIPを同一帯に固定(例:192.168.10.250)
- ゲートウェイを単体ルータに設定
- DNSは自動取得
- DHCPをOFF
- 再起動してLANに接続
この方法は、後で管理画面に入りやすいのがメリットです。
パターンB:さらに手軽(自宅ならアリ)
Wi-FiルータのIPを「自動取得」にして、DHCPクライアントとして使う方法です。
ただし、管理画面のIPが分からなくなりがちなので、
私はあまり使いません。
それでも遅いときのチェックリスト
- 10/100Mbpsの古いスイッチングハブを使っていないか
→1GbE以上のスイッチングハブに代えてください。 - LANケーブルがカテゴリ5のままになっていないか
→カテゴリ6A以上に代えてください。 - 接続端末数が家庭用Wi-Fiルータの限界を超えていないか
→Wi-Fi APを追加してください。必要ないデバイスは有線LANに代えてください。
ここがボトルネックになっているケースも意外と多いです。
Wi-Fi 6E/2.5GbE時代に見落としがちなポイント
ここまでの話は、2025年現在でも基本中の基本です。
ただし、最近はネットワーク機器の進化により、
新しい「詰まりどころ」も増えてきました。
まずWi-Fi 6E。
6GHz帯は電波干渉が少なく高速ですが、
対応している端末・AP・ルータが揃っていないと意味がありません。
Wi-Fi 6E対応ルータを導入しても、
クライアント側がWi-Fi 5や6止まりなら体感はほぼ変わりません。
「ルータだけ最新」という状態は意外と多いです。
次に2.5GbE。
最近のNASやPC、Wi-Fi APには2.5GbEポートが増えてきました。
しかし途中に、
- 1GbEスイッチングハブ
- 1GbEポートしか持たないルータ
が混ざっていると、
そこできっちり1Gbpsに頭打ちになります。
特に社内・自宅ともに多いのが、
「ルータ〜AP間が1GbEで、Wi-Fiだけ速いと思い込んでいる」ケースです。
2025年現在の感覚としては、
- Wi-Fi 6Eを活かしたい → 上流も2.5GbE以上を意識
- NASやローカル転送を速くしたい → スイッチングハブを疑う
という視点を持つだけで、
無駄な機器更新を避けやすくなります。
とはいえ、APモードやDHCPの基本が崩れていると、
どんな最新規格も意味をなさないのは、今も昔も同じです。
「有線LAN接続デバイスの速度を1Gbps以上にしたいが、あまり予算はない」という場合は、
先日、私が購入した低価格な2.5GbEスイッチングハブの情報を参考にしてください。

まとめ:まず「APのつなぎ方」を疑うと、一気に楽になる

まずは基本的なネットワーク知識を身につけて、ひとつずつ落ち着いて整理していきましょう。
社内や自宅のネットが遅いとき、
回線を疑う前に、まず見直してほしいのはここです。
- Wi-Fiルータをルータモードのまま挿していないか
- DHCPが二重化していないか
この2つは、直せばすぐ効果が出ます。
しかも、ほぼノーコスト。
特に中小企業では、
「ちょっと詳しい人」が場当たりで増設して、
退職してカオス、というケースが本当に多い。
ネットワークは、システム開発やWEB制作とはジャンルが違います。
詳しい人に丸投げして責めても、解決しません。
最後に、私が「仕事で使える」と感じる機材の方向性だけ置いておきます。
家庭用Wi-Fiルータなら、私はNEC Atermが安心寄り。
端末が50台以上なら、業務用Wi-Fi AP(別途ルータ必要)。
ルータは中小企業ならYAMAHA RTXが安定性・管理性ともに強い。
以上、ブログ「オニオン座」がお届けしました。最後までご覧いただき、ありがとうございました。














