多ドラ5BAドライバ搭載の中華イヤホン「KZ AS10」を買ってみたのでレビューしますよ

 

今、高音質で低価格、そしてちょっぴりスリリングな中華イヤホンが面白いです。数ある中華イヤホン界でトップクラスの人気を誇るKZ社が満を持してリリースしたのが「KZ AS10」です。

KZ AS10は、なんとバランスドアーマチュアドライバ(以下「BAドライバ」)が片方で5本、両方で10本も入っていてめちゃめちゃお得な中華イヤホン価格を実現。サブで使っているKZ ZS6をどれくらい超える音質なのでしょうか。実際に買ってみたのでレビューします。

目次

多ドラ5BAドライバ搭載の中華イヤホン「KZ AS10」を買ってみたのでレビューしますよ

中華イヤホンとは

そもそも中華イヤホンとは、前回の記事「高音質で低価格と話題の中華イヤホン「KZ ZS6」を買ってみたのでレビューしますよ」でもご説明しましたので簡単にご紹介します。

中華イヤホンとは中国メーカーブランドのイヤホンで、基本的にAmazonなどのネットショップでのみ購入できます。一部はイーイヤホンなどのイヤホンヘッドホン専門店でも展示されていますが、ヨドバシカメラなどの家電量販店にはほぼありませんので、試聴してから買うことがなかなか困難です。

冒頭に書きましたがなぜスリリングかというと、中華イヤホンは良くも悪くも攻めの商品開発をしているようで、品質や音質が玉石混淆です。なにしろ後継機種や上位機種の方が音が悪かったりすることもあるくらいです。いわゆる有名ブランドのイヤホンのようにある程度は音の傾向やクオリティが予想できるものはありません。

そのため、買うまでどんな音か分からないし、ネット上の口コミをどこまで信用するかという不安が入り交じったところもミステリーです。サクラの口コミも多いですからね。ネット口コミもない状態ですぐ購入する、通称「人柱」がいたりします。

でも当たり機種であれば、有名メーカーとは比較にならないほどの高音質&低価格でコストパフォーマンスにめちゃめちゃ優れたイヤホンも存在します

そんな中華イヤホンでも比較的安定感があるのが中国KZ(Knowledge Zenith)社のイヤホンです。以前購入した「KZ ZS6」はAmazonで5,000円未満、中国のショッピングサイトなら3,500円もしなかったのですが価格以上の高音質でかなりよかったです。

中華イヤホンを一円でも格安に購入するならGearBestやaliexpressなど中国のショッピングサイトがおすすめですが、今回は返品返金などの保証が便利なAmazonで購入することにしました。

 

KZ AS10を購入した理由

なぜKZ AS10を買ったかというと、大きく3つの理由があります。

まず以前の記事「aikoのせいでイヤホン沼にハマって、ようやく抜け出すことが出来た話」でもご紹介しましたが、ダイナミックドライバ(以下「DDドライバ」)よりも音の分離がしっかりしていて音場の広いBAドライバのイヤホンが個人的に好みであるというのが一つ目の理由です。

そして二つ目の理由は低価格で5BAドライバイヤホンが買えるからです。
BAドライバは1本で広い周波数をカバーするのが苦手という特性があるため、ひとつのイヤホンに複数のBAドライバを内蔵することがありますが、本数が増えれば増えるほど高価になります。例えば私がメインに使っている、BAドライバが3本のATH-IM03は約4万円します。さらにBAドライバを5本使っている多ドライヤホンなんかだと10万円を超える高級機種がごろごろあります。
ところが、KZ AS10はBAドライバを5本使っているのにAmazonでも7,000円台で買えてしまうのです。

最後の理由としては、KZ ZS6のように低音域をDDドライバ、中高音域をBAドライバというようにしているハイブリッドイヤホンだと、どうしてもDDからBAへのつながりと固さの違いに違和感を感じてしまうからです。音質的にDDは柔らかくBAは固いという違いとかね。このため4BAドライバ+1DDドライバのKZ ZS10はパスしました。

そのうちKZあたりからDDドライバを使わず4,5本のBAドライバの安い多ドライヤホンが発売されないかなあ、と思っていた矢先にKZ AS10がリリースされたのは嬉しかったのです。これは買っちゃうしかないと、まだまだネット上の口コミはないのですが、人柱のつもりで購入してみました。

KZ AS10の開封レビュー

8月18日にKZ AS10をAmazonで購入したところ、手元に届いたのは8月23日でした。マイク無しモデルです。お値段は8,200円のところをキャンペーン値引き700円だったので、7,500円で購入することができました。

中国からEMSで届いたのがこちら。

外箱がべこべこになっています。重い荷物に潰されたりぶん投げられたんでしょうな。これが中華クオリティ。

外箱はダメージがありましたが、一回り小さいパッケージは全然無事でした。でもビニールシュリンクが雑だなこりゃ。国内メーカーならパッケージ不良品扱いレベル。こういうのに理解のない人は中華イヤホンはおすすめしません。

パッケージを開けてみました。意外と高級感があります。

中身はこんな感じ。イヤホン本体(イヤーピースMサイズ装着済み)、ケーブル、イヤーピース S/Lサイズ、説明書、検査済証。説明書には周波数特性やインピーダンスなど詳しいスペックは書かれていませんでしたが、Alixpressの情報によると、周波数帯域は20-40000Hz、インピーダンス14Ω、音圧106dBとのこと。いちよう周波数帯域はハイファイ仕様なんですな。

シリコンイヤーピースを拡大。やや工夫が見られ、装着感は悪くありません。しばらくこのまま使おうと思います。

イヤホン本体を拡大。ぱっと見はKZ ZS10に似てるけど少し細め。金属筐体を使ったKZ ZS6よりも小さく軽く感じます。

左右が分かりやすいですね。使っているうちに剥げそうですけど。

もちろんリケーブル対応なので断線しても交換可能。いつもの2pinが刺さります。ZST ZS10 ZSR ZSA ZS6あたりのケーブルを共用できます。

付属のリケーブルケーブルは外見上しっかりしてます。以前より品質が良くなりましたな。シェアがけできるようにワイヤーが入っています。

リケーブルケーブルはこのように刺します。向きを間違えないようにしたいです。ケーブルのLRマークがはっきりしているので分かりやすい。

こんな感じになります。

 

KZ AS10を実際に聴いてみた(サウンドについて)

初期不良チェックのつもりでエージングもせずにとりあえず聴いてみます。デジタルオーディオプレーヤーは先日買ったパイオニアXDP-30Rで、アンバランス接続です。音源ソースはいつものaikoや和ジャズのApple Lossless(ALAC)ファイルです。

念のためエージングとは何かを簡単に言いますと、買ったばかりのオーディオ機器は音が悪く本領を発揮できませんので、数十時間は音を流して慣らし運転をすることです。バーンインともいいます。

KZ AS10をエージング無しで聴いた感じでは、サウンドバランスはややドンシャリめのフラットで、サ行のささりはありません。低価格BAイヤホンにありがちな金属的な固さは特に感じられませんが、普通に固めかな。BAドライバならではの歯切れの良い低音が感じられます。おそらく低音域はBAドライバを2発使っているのかな?というくらい量感も感じます。ただし音の分離は良いとは言えずやや団子状態。こもりも少し感じられます。まあエージング前はこんなもんでしょう。とりあえず初期不良はないようで安心しました。

その後、2日間ほどエージングをしました。BAドライバだからあまりエージングは必要ないのですが念のため。先日と同じ環境で真面目に音を聴いてみました。

結論から言うと、買って良かった。KZ ZS6よりもぜんぜん音がいい。

まず先に述べたようにハイブリッドではなくBAだけの構成であるため、低音と高音の固さにきちんと一体感があります。

基本的なサウンドバランスは前述の通り、低音がブースト気味だけど概ねフラット。味付けは少なく、濃厚というよりサッパリ感という印象。ウェットではなくドライ。よくいえばモニター的。だから好みが分かれるかもしれません。

低いところから高いところまでのつながりも問題ありません。だいぶ音の固さが取れてきて、こもりも解消されてきました。音の分解能も上がってきました。音場はまあまあ広めで、楽器の配置や遠近感を感じます。ボーカルの距離は遠すぎず近すぎずちょうど良い感じ。ぜいたくを言えば、もう少し音の定位がはっきりしていると嬉しいですが、1万円を大きく下回るこの機種に求めるのは酷かな。

KZ ZS6と比較してみます。これら2機種を比べてしまうと低音はZS6はめっちゃブーストされててブーミーで下品。AS10は少し持ち上げてあるけど締まっていて潰れていないです。高音はZS6はよく言えば賑やか、悪く言えばやかましいのですが、AS10は伸びやかでずっと聞きやすいです。ZS6はじゃじゃ馬でAS10は大人、といった印象です。AS10はZS6の倍ほどの値段ですが、それ以上のパフォーマンスの差がありました。

ここまではXDP-30Rにアンバランス接続で聴いたお話。次にバランスケーブルに差し替えてみます。一緒にポチったYinyooの2pin・2.5mmプラグケーブルです。

Amazonでキャンペーン割引きが100円ついたので1,900円弱で購入しました。もっと高いのもあったのですが、アンバランスとバランスの比較をしたかったのであえて最安クラスにしました。でも4芯ではなく6芯であるのがポイント。

中華DAPにも負けない!低価格高音質なパイオニアXDP-30Rを購入したので開封レビューしますよ」でご紹介したように、XDP-30Rはアンバランス接続と比べてバランス接続の音がめちゃめちゃ良いこと、別途購入したバランスケーブルが安物とはいえ純銅ケーブルであることから、あくまで参考までに。

ということで、KZ AS10をバランス接続で聴いてみたら・・・。

KZ AS10が完全に化けました。ありゃりゃ全く別物ですよこれは。

上記でKZ AS10はサッパリでドライと述べましたが全く変わりました。

アンバランス接続ではやや不満であった、音の定位のフォーカスが確かなものになり、若干ぼやけ気味だったベースがはっきりし、低音は低音らしく太くなり、高音は滑らかで色気すら感じます。

これら音の変化はXDP-30Rのバランス接続ならではの傾向でもありますが、KZ AS10はきちんとそれに追従できる高いポテンシャルを持っていることが分かりました。

もし、メイン機のATH-IM03(約4万円)とKZ AS10(7,500円)をブラインドテストすることができれば、私は違いが分からないかもしれないです。少なくとも私のくそ耳では欠点が見つかりませんでした。しいて言えば、AS10の方が少しドライサウンドかな。特にスネアが。

やばい。今書いてて、褒めすぎじゃねと自分でも思っただけど、ホントです。これならメインで戦える。

まとめ

はっきり言います。KZ AS10は「買い」です。

執筆時点ではAmazonにも在庫がなく、Amazonで買ったとしても中国から取り寄せるため日数もかかりますが、もう少ししたら改善されると思いますので是非買って聴いてみてください。【2018/09/21追記】もう国内出荷&翌日配送可能みたいですね。

それにしても約40,000円のイヤホンと同等のポテンシャルを持っているのに、8,000円弱で買えてしまう中華イヤホンの恐ろしさをあらためて知りました。ごくごく厳密には比較したATH-IM03の方が静けさや自然さでは優位ですが、音楽ソースによっては気にならない違いだと思います。

今回は標準付属ケーブル(アンバランス)から約2,000円の市販リケーブルケーブル(バランス)にしたら劇的に音が変わりました。もしかしたらアンバランス接続でも、ちょっと品質の良いリケーブルケーブルに替えてみるだけで化けるかもしれませんね。

ちなみに気になる音漏れですが、本体にすごく小さなダクトがありますが殆ど影響ありません。また標準で付属しているイヤピースも意外とフィット感が良くて気に入りました。

もしコンプライのイヤーチップに付け替えをされるのであれば、KZ ZST ZS5などと同じサイズのためT500/TX500シリーズが適合します。

ちなみに、XDP-30Rが気になる方はこちらの記事をご覧下さい。
→「中華DAPにも負けない!低価格高音質なパイオニアXDP-30Rを購入したので開封レビューしますよ

 

最後までご覧下さり誠にありがとうございました。ほかにもイヤホンやデジタルガジェットの記事がありますので、どうぞごゆっくり。

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