据え置き型DAC内蔵ヘッドホンアンプ「SMSL DO400」を購入して、わが家のデスクトップオーディオ環境はかなり満足できるものになった。ヘッドホンで聴いてもよし、パワーアンプにつないでスピーカーで聴いてもよし。SMSL M300SEからSMSL DO400へ買い替えたことで、音の情報量や静けさ、立体感、全体の余裕感が明らかに良くなった。
ところが、オーディオというものはひとつ良くなると、別の弱点が見えてくる。
DO400自体には大満足だったのだが、今度はこれまで使っていた小型パワーアンプ「Fosi Audio BT30D」の限界が気になり始めた。BT30Dはサブウーファー出力もあり、価格を考えれば非常に便利なアンプである。しかしDO400を導入してからは、どうもスピーカー側の音にもう一段の余裕が欲しくなってしまったのだ。
そこで購入してみたのが、AIYIMA A20(アイイーマ・エー20)である。
結論から言えば、これは買ってよかった。マジでオススメだ。
音は明らかに良くなったし、RCA入力とXLR入力を本体側で切り替えられるため、これまで使っていたオーディオセレクターも不要になった。音質面でも使い勝手の面でも、デスクトップオーディオ環境がさらに一段スッキリしたのである。
SMSL DO400を買ったら、今度はパワーアンプが気になり始めた

これまで使っていたFosi Audio BT30Dは、決して悪いアンプではない。むしろ、低価格帯の小型D級アンプとしてはかなり便利な製品だと思う。
Bluetooth入力(SBCのみ)、サブウーファー出力、トーンコントロールまで備えており、デスクトップやテレビまわりで気軽に使うにはとても扱いやすい。価格を考慮すれば、音質も不満はなかった。
ただし、わが家にSMSL DO400を導入してから状況が少し変わった。
DO400のライン出力からBT30Dへつないでスピーカーを鳴らしてみると、もちろん音は良い。M300SEの頃よりも情報量は増えたし、全体の見通しも良くなった。しかし同時に、「このDACの音を、アンプ側が少し受け止めきれていないのでは?」という感覚も出てきた。ヘッドホンで聴ける音質と比べてしまうと、BT30Dを経由したスピーカーの音質に非力さを感じてしまったのだ。
特に気になったのは、低音の沈み込みと全体の余裕感である。BT30Dでも普通に鳴るのだが、DALI Mentor MINUETのような小型ながら音の良いスピーカーを使っていると、もう少し下の帯域まで自然に出てほしい。音の輪郭も、もう少し細かく見えてほしい。そんな欲が出てしまった。
つまり、SMSL DO400を買ったことで、今度はパワーアンプも少し良いものにしたくなってしまったのである。これは困った。だが、楽しい。
パワーアンプとは、DACやプリアンプ、その他再生デバイスから受け取った音声信号を、スピーカーを鳴らせる大きさまで増幅する機器のこと。ヘッドホンアンプがヘッドホン用なら、パワーアンプはスピーカー用のアンプとなる。
AIYIMA A20を選んだ理由

RCAライン入力は、+3dbのゲイン調整が可能だ
今回AIYIMA A20を選んだ理由は、大きく3つある。
一つ目は、XLR入力に対応しており、フルバランス回路を採用していることだ。
SMSL DO400はRCA出力だけでなくXLR出力も備えている。せっかくDO400を導入したのだから、できればそのXLR出力を活かせるパワーアンプを使いたかった。
もちろん、この価格帯の小型アンプなので、どこまで本格的なバランス構成なのかは製品ごとに見方が分かれるところだが、少なくともA20はXLR入力とフルバランス回路をうたっている。DO400の相棒としては、かなり相性が良さそうに見えた。
二つ目は、アクティブサブウーファーを接続できることだ。
わが家では小型スピーカーのDALI Mentor MINUETを使っている。サイズを考えれば十分すぎるほど良い音を出してくれるスピーカーだが、やはり低域の量感や迫力はサブウーファーで補いたくなる場面がある。音楽だけでなく、PCゲームや動画視聴にも使うことを考えると、サブウーファー出力があることはかなり重要だった。

そして三つ目は、価格の割に高音質が期待できる構成であること。
予算的には仮で5万円以下とした。しかしXLR入力可能で手頃なパワーアンプとなれば、中華アンプしか選択肢はないのは分かっていた。そのなかでも高音質である理由が分かるやつが欲しかった。
A20はTPA3255アンプチップを採用し、オペアンプにはLME49720×2とNE5532×7を搭載している。さらにPFFBや日本製NJW1195ボリュームICなど、この価格帯の小型D級アンプとしてはなかなか魅力的な仕様が並んでいる。もちろん、搭載チップだけで音が決まるわけではない。しかし、少なくとも「安いからそれなり」ではなく、DO400と組み合わせてもきちんと音質向上が期待できそうな内容に見えた。
つまり、AIYIMA A20は、XLR対応、サブウーファー接続、そして価格以上の音質が期待できる構成という、私が今回欲しかった条件をかなりきれいに満たしていたのである。逆に言えば、DACやBluetooth、LEDディスプレイなどは不要だった
AIYIMA A20の外観と使い勝手(開封レビュー)
こちらが、わが家に来てくれたAIYIMA A20である。
パッケージは、おそらくAIYIMA製品にしてはしっかりしている。高級オーディオのような豪華さはないが、この価格帯の中華アンプとしては必要十分という印象だ。

ちなみに、AIYIMAは中国のShenzhen YiMa Technology Co.,Ltd(深圳億馬技術有限公司)のオーディオブランドだ。日本では主に「アイイーマ」と発音されるのが一般的だと思う。同社はFosiなどと同様に、低価格でコスパの優れた「中華アンプ」「中華DAC」を提供していることで有名だ。
同梱内容は、本体、ACアダプター、電源ケーブル、12Vトリガーケーブル、簡易マニュアル類。標準的な構成である。リモコンやBluetoothアンテナが付属するタイプの製品ではないので、DO400と比べるとかなりシンプルだ。

付属するACアダプターは、48V/5A 240Wと心強い。ただし電源ケーブルは3ピンのため、一般的な2ピンに変換するアダプターか、3ピン対応のOAタップを事前に用意しておきたい。

窒素ガリウム(GaN)を用いた高出力ACアダプターが付属する

一般家庭用の電源タップでは刺さらないので注意しよう
A20のフロントパネルはかなり分かりやすい。中央には大きめのボリュームノブがあり、入力切替も本体側で行える。RCA入力とXLR入力を切り替えられるため、SMSL DO400のようなXLR出力を持つDACと、別のRCA出力機器を併用したい場合にかなり便利だ。

不要な機能が一切ない潔さ。本当は2台買って左右別個に使いたい
操作感もシンプルで、見たまんまだ。迷うところは少ない。最近の小型アンプには多機能なものも多いが、A20は基本的に「入力を選んで、音量を調整して、スピーカーを鳴らす」という役割に集中している。
背面を見ると、A20の便利さがよく分かる。ライン入力はRCAとXLRの2系統。SMSL DO400のXLRバランス出力を活かしたい私にとって、このXLR入力はかなり重要だ。

BYPASSボタンを押せば、ボリュームコントロールをバイパスできる。音量調整はプリアンプで行う
スピーカー出力のほか、アクティブサブウーファーを接続できる端子も用意されている。左右2本のパッシブスピーカーと、1本のアクティブサブウーファーが使えるかたちだ。
小型スピーカーだけでは足りない低域をサブウーファーで補えるため、デスクトップオーディオだけでなく、PCゲームや映画、動画視聴にもかなり使いやすい構成だと思う。

サブウーファーのクロスオーバーを調整できるのはありがたいが、サブウーファーのボリュームは変えられない
ただし、A20本体にはサブウーファー専用の個別ボリュームはない。Fosi BT30Dのようにサブウーファー音量を手元で調整できるアンプは、逆に言うと非常に珍しいのだ。
そして肝心のSMSL DO400とAIYIMA A20の接続は、もちろんXLRケーブルによるバランス接続だ。私は両端にNEUTRIK社製のXLRプラグを用いたモガミ2534を2本購入した。プリアンプとパワーアンプ間のケーブルはケチってはいけないからだ。
全体として、A20は見た目も端子構成もかなり実用的である。余計な機能を盛りすぎず、RCAとXLRの入力切替、スピーカー出力、サブウーファー接続という、デスクトップオーディオで欲しいところをしっかり押さえている。DO400の相棒として選んだのは正解だったかもしれない、とこの時点ですでに少し期待してしまった。
AIYIMA A20の主な仕様。小型なのに中身はかなり本気

小型ボディのためスピーカーターミナルは大きくない。太いケーブルにはバナナプラグを使おう
AIYIMA A20は、見た目こそコンパクトなデスクトップ向けパワーアンプだが、中身を見るとかなり本気である。アンプチップには定番のTPA3255を採用し、オペアンプにはLME49720×2とNE5532×7を搭載。さらにフルバランス回路、PFFB、日本製NJW1195ボリュームICなど、この価格帯の小型アンプとしてはなかなか盛られた構成になっている。
もちろん、オーディオ機器は搭載チップだけで音が決まるわけではない。しかし、詳細は後述の通り、A20を聴いたときに感じた「低音の安定感」「情報量の多さ」「D級アンプっぽさの少なさ」は、このあたりの回路構成が効いているのだろうと思う。単にパワーがあるだけではなく、音量を上げなくても音が痩せにくく、スピーカーをきちんと支えている感じがある。
入力はRCAとXLRの2系統に対応しており、SMSL DO400のようなXLR出力を持つDACとも組み合わせやすい。さらにアクティブサブウーファーも接続できるため、デスクトップオーディオだけでなく、PCゲームや動画視聴を含めたゲーミングオーディオ環境にも使いやすい。小型アンプではあるが、かなり守備範囲の広い1台だ。
| 製品名 | AIYIMA A20 |
|---|---|
| 種類 | デスクトップ向けパワーアンプ |
| アンプチップ | TPA3255 |
| オペアンプ | LME49720×2、NE5532×7 |
| 回路構成 | フルバランス回路、PFFB搭載 |
| ボリュームIC | 日本製 NJW1195 |
| 入力端子 | RCA、XLR |
| 出力端子 | スピーカー出力、サブウーファー出力(RCA) |
| 主な特徴 | RCA/XLR入力切替、ハイパス切替、ボリュームバイパス機能、アクティブサブウーファー接続対応、12Vトリガー入力 |
| 相性のよい用途 | デスクトップオーディオ、PCオーディオ、ゲーミングオーディオ、小型スピーカー環境 |
Fosi BT30DからAIYIMA A20へ交換して音はどう変わったか

放熱を意識した金属筐体。稼働中もほんのり温かい程度で安心だ
さっそく、SMSL DO400とAIYIMA A20を接続して聴いてみた。スピーカーはこれまで通りDALI Mentor MINUET、再生デバイスはWindows11にてAmazonミュージック(排他モードON)よりハイレゾ音源を用いた。つまり、主な変更点はパワーアンプだけだ。
音を出してまず感じたのは、全体の余裕感が増したことだった。BT30Dでも元気よく鳴っていたのだが、A20に替えると、音が少し落ち着いて、見通しが良くなる。音量を上げなくても音が痩せにくく、スピーカーをきちんと支えてドライブしている感じがある。
特に分かりやすかったのは低音である。
BT30Dでは、低音が出ていないわけではない。しかし、A20に替えると、もう少し低いところから自然に聞こえるようになった。無理に膨らませた低音ではなく、音楽の土台として下の帯域がしっかり出てくる感じだ。小型スピーカーであるDALI Mentor MINUETから、ここまでコシのある低音の表情が出るのかと少し驚いた。
低音が良くなると、音楽全体の印象も変わる。ボーカルや楽器が低域に支えられるため、全体のバランスが安定する。軽さが減り、音に厚みが出る。音楽としての説得力が増す方向で変わった。
D級アンプっぽさが薄れて、情報量が増えた
もうひとつ大きな違いは、いわゆるD級アンプっぽさがかなり薄れたことだ。
低価格帯のD級アンプは、便利でパワフルでコスパも良い。一方で、製品によっては音が少し硬かったり、平面的だったり、細かい音が整理されすぎてしまうように感じることがある。BT30Dも価格を考えれば十分に優秀なのだが、DO400と組み合わせると、少しそのあたりが見えてしまった。
AIYIMA A20に替えると、まず音の情報量が増えた。細かい音が聞こえやすくなり、ボーカルや楽器の質感も分かりやすい。音の輪郭ははっきりしているが、変に硬くならない。D級アンプらしいキレの良さは残しつつ、聴き疲れしにくい方向にまとまっている印象だ。
DO400の持ち味である豊かな音場の広さと奥行き感が、アンプをAIYIMA A20に換えたことでスピーカーでも十分発揮できている。総じて2万円台のアンプとは到底思えない。もしブラインドテストされたら十数万円のAB級アンプと区別がつかないかもしれない。そう思えた。
褒めすぎだって?いや、素晴らしいんだから仕方がない。
このあたりは、TPA3255アンプチップに加えて、LME49720×2、NE5532×7というオペアンプ構成、さらにPFFBを含むフルバランス回路が効いているのだろう。専門的な測定まではしていないが、少なくとも聴感上は、単にパワーで押すアンプではなく、細かい音をきちんと拾いながらスピーカーを制御している感じがある。
また、日本製NJW1195ボリュームICを採用している点も地味に安心感がある。実際、驚くことにA20ではギャングエラーが感じられないのだ。そしてスピーカーに耳を近づけてもホワイトノイズは聞こえないから、ボリュームを最小にしても音が破綻しない。こういう細かい部分が積み重なって、全体の使いやすさにつながっているのだと思う。
もちろん、何十万円もする本格的なプリメインアンプと比べるような話ではない。しかし、デスクトップや小型スピーカー環境で使うアンプとしては、かなり満足度が高い。少なくとも、DO400のライン出力を受けるパワーアンプとして、BT30Dよりも明らかに相性が良いと感じた。
RCAとXLRを切り替えられるのが想像以上に便利
音質面の変化も大きかったが、使い勝手でうれしかったのは、何度も繰り返してしまっているが、RCA入力とXLR入力を切り替えられることだ。
これまで私は、複数の音源を切り替えるためにオーディオセレクターを使っていた。これはこれで便利なのだが、機器が増えるとケーブルも増える。デスクまわりもごちゃつく。さらに、音の通り道に機器がひとつ増えることになるので、音質的にも好ましくない。
だがA20にしたことで、DO400はXLR入力へ、別の機器はRCA入力へ、という使い分けができるようになった。これにより、外付けのオーディオセレクターを外すことができた。これは想像以上に快適である。

【変更前】パワーアンプを変える前は、マスプロのセレクターを置いていたが・・・

【変更後】AIYIMA A20に換えたらこうなった。めっちゃスッキリだし、正直カッコイイ
入力切替がアンプ側で完結するだけで、普段の操作がかなり楽になる。音質のために買ったつもりだったが、結果的にはデスクまわりの整理にもなった。こういう地味な改善は、毎日使う環境ではかなりありがたい。
AIYIMA A20にも注意点はある
AIYIMA A20はかなり気に入ったが、万人向けの万能アンプというわけではない。
まず、トーンコントロールがない。デスクトップオーディオではスピーカーが小型になりがちなため再生音源に応じてトーンコントロールで低音や高音を積極的にいじりたい人も多いだろう。こうした場合、A20では、再生音源側(例えばPCなど)のイコライザーで調整をする必要がある。
次に、アクティブサブウーファーは接続可能だが、サブウーファー側の音量をA20で調整することはできない。そもそもサブウーファー対応のパワーアンプは多くないため、デメリットとも言えないが、乗り換える人は留意した方がいいと思う。
A20でサブウーファーのボリュームを積極的にいじりたい人は、サブウーファーの置く場所を変えてサブウーファー本体のボリュームを操作するか、以下のようなラインボリュームコントローラを間に挟むとよい。
以上のように、A20は、(アクティブサブウーファー対応という点を除けば、)上流のDACや音源の良さを素直に出す「ピュアなパワーアンプである」という点を予め理解しておきたいものだ。
まとめ:AIYIMA A20はDO400の相棒としてかなり満足度が高い

SMSL DO400を導入して、DACとヘッドホンアンプまわりはかなり満足できる環境になった。しかし、スピーカーで聴く時間が増えるにつれて、今度はパワーアンプ側も少し良くしたくなった。そこでAIYIMA A20を購入してみたわけだが、結果としては大正解だった。
Fosi BT30DからAIYIMA A20へ替えたことで、低音はより低いところから自然に聞こえるようになり、全体の情報量も増えた。D級アンプらしい便利さや小型さはそのままに、音の硬さや平面的な感じが減り、SMSL DO400の真骨頂である音の立体感を、より落ち着いて音楽を聴けるようになった。
TPA3255、LME49720、NE5532、PFFB、日本製NJW1195ボリュームICといった構成を見ても、A20は単なる安い小型アンプではない。もちろん高級オーディオ機器ではないが、デスクトップ環境で現実的に使いやすく、音質面でもきちんと満足できるアンプだと思う。
さらに、RCAとXLRの2系統入力を切り替えられることで、これまで使っていたオーディオセレクターも不要になった。アクティブサブウーファーも接続できるので、音楽だけでなくゲームや動画視聴にも使いやすい。ただしサブウーファーの個別ボリュームはないため、必要に応じてラインボリュームを追加するとよい。
音が良くなり、機器も減り、操作もシンプルになる。それでいて安い。控えめに言って「最高」である。
BT30Dで十分だと思っていたはずなのに、DO400を買ったことでアンプの差が気になり、A20に替えたらさらに幸せになってしまった。まったく困った話である。
気になっている方は、Amazonや楽天市場などで価格と在庫を確認してみてほしい。SMSL DO400と組み合わせる小型パワーアンプを探している人、RCAとXLRを切り替えて使いたい人、デスクトップオーディオやゲーミングオーディオをもう一段スッキリさせたい人には、AIYIMA A20は自信を持っておすすめできる1台だ。













