【2021年版】スマホ用USB充電器の選び方には注意が必要!PowerDeliveryやQuickCharge規格の違いも分かりやすく説明しますよ

この記事では、どんどん多様化するUSB充電方法の規格の違いをなるべく分かりやすくご紹介します。

iPhoneやスマートフォンの充電といえば、USBケーブルを用いたUSB充電器やモバイルバッテリーを使用しますね。例えば充電器を買う場合、以前は普通の充電器と高速充電器の2種類くらいしかメジャーではありませんでしたから、家電量販店などで充電器選びは簡単でした。モバイルバッテリーに至っては普通のやつしかありませんでした。

ところが徐々に普通のUSB充電器・モバイルバッテリーでは対応できない携帯端末が続々と登場してきたり、ノートパソコンまでがUSB充電器に対応するなど、だいぶ複雑になってきています。分かる人にとっては便利になってきたのですが、そうでない方は充電器やモバイルバッテリーを買いたいけどどれを選んだらいいのか分からないと悩んでますよね。

そこで今回の記事は、今さら聞けないUSB充電器・バッテリーの違いや、PowerDelivery(パワーデリバリー)やQuickCharge(クイックチャージ)といった充電・給電方式と選び方について、なるべく分かりやすくご説明します。

目次

【2021年版】スマホ用USB充電器の選び方には注意が必要!PowerDeliveryやQuickCharge規格の違いも分かりやすく説明しますよ

USB充電器やモバイルバッテリーの種類と違いについて

まず、USB充電器の移り変わりについて簡単にお話します。スマホが出そろった頃のものとしては、冒頭の「普通のUSB充電器」は5V-1Aの充電器で、「高速充電対応のUSB充電器」は5V-1.5A以上のものでした。

小学生の頃の理科の授業を振り返ってみると、Vはボルト、Aはアンペア、V×A=Wワットです。同じボルト数であれば、より高いアンペアで充電した方が早く充電できるという理屈です。

以前は5V-1Aの充電器やモバイルバッテリーで事足りていましたが、スマホの高速充電や最近のiPhoneやスマホ・タブレットの大容量化に伴い5V-2.4Aなどの高スペックなものが必要になってきました。高性能化に伴って端末の消費電力が増え、それでも使用可能時間を短くしないようバッテリー容量が大きくなったため、より多くのアンペア数を求めるようになったのです。

さらにUSB充電器・モバイルバッテリー側にUSB Type-Cコネクタの付いた充電器が登場し、5V固定だったUSB給電規格を発展させてMacbookやiPad、その他タブレットを高速充電できる9Vや12Vなどの高圧電流のものも現れてきました。今度はボルト数も上げてきたわけです。

刺せば使えるべき充電器にこれほど種類が出てくる事態で、ちょっとしたカオス状態ですよね。とはという状況です。付属品は自宅用として使って、持ち歩き携帯用や会社のデスクに常備したいと、予備の充電器を買おうと思ってもどれを買ったらいいか分からない。かといって付属品と同じ純正品はバカ高いので買いたくない。

そこで何も考えず安いUSB充電器やモバイルバッテリーを買ってみたはいいが、iPhoneに刺しても「充電してません」と出てしまったり、充電ランプが点滅を繰り返して充電できなかったりして、結局買い直したり。充電器選びをうまくすれば最小限の台数で済みますが、失敗した場合はすぐ無駄になってしまいかねません。

以上から、今回の記事では群雄割拠するUSB充電器・モバイルバッテリーの違いや、買ってはいけない充電器、買うべき充電器などを整理したいと思います。

 

USB充電器の選び方は、最大Aアンペア数の合計値やワット数をチェックすべし

まずはPowerDeliveryやQuickCharge云々は置いておいて、まずはUSB充電器の歴史というか流れを簡単にご説明します。

Apple iPhoneでいうと、iPhone6Sくらいまでは5V-1A(5W)の純正USB充電器が付属していました。当時は市販のUSB充電器も同じく5V-1Aのものばかりでした。この頃の充電器やモバイルバッテリーを未だにお持ちの方が多いのではないでしょうか。

そもそもUSBの給電規格は、USB 2.0 : 2.5W (5V/0.5A)、USB 3.0 : 4.5W (5V/0.9A)となっていましたから、この程度のアンペア数が普通というか標準だったんです。その後、バッテリー用途の充電規格USB BC(Battery Charging) 1.2で7.5W(5V/2.5A)までの電力供給が可能となったため、1A以上の電流アンペアで充電できる高速充電器・急速充電器が登場しました。そもそも古いiPhone6Sですら1.5Aくらいまでの給電に対応しており、純正の1Aと比べて早く充電が完了するメリットがありました。

そしてiPadの純正充電器は5V-2.1A(約10W)でした。画面が大きく消費電力も多く、バッテリーも大容量なので充電にも高いアンペア数が必要なんですね。

さらに最近のiPhone XS/XR以降に付属する純正充電器も5V-2.4A(12W)のものとなり、iPad Proにいたっては5V-3A・9V-2AのPD充電器(詳しくは後述)が標準となっています。より多くの電力を必要とするようになってきたのです。

こうして、5V-1Aから始まったスマホ用のUSB充電器は発展していき、5V-2.4Aに対応するスマホが出てきたり、iPadなどは5Vでは電圧が足らず9Vに対応するものまでレパートリーが増えていきました。

そのため最新のiPhoneやiPad、ミドルクラス以上のAndroidスマホを従来の5V-1A対応充電器で充電しようとすると、「認識しない」「充電できず多少の補給にしかならない」「充電できるがすごく遅い」ということに起きるようになりました。

では、どのUSB充電器を選ぶといいのでしょうか。

 

あなたの使い方にあったUSB充電器を選ぶ方法

結論から言いましょう。

結論:最近のiPhoneやAndroidスマホをお持ちの方は5V-1AのUSB充電器・モバイルバッテリーを買ってはいけません。これからUSB充電器・モバイルバッテリーを購入するなら、せめて1ポート出力あたり5V-2.4A(12W)対応のものを買いましょう。

なぜこのように断言できるかは、最近のスマホ・タブレットでは1Aではアンペア数が足りないことがあるとご説明しましたが、実は家電量販店やコンビニ、ドンキホーテなどでは、いまだに普通に5V-1Aの充電器やモバイルバッテリーが普通に売られているからです。それも格安なのでつい選んでしまいがちですが、一旦冷静になって買う前にパッケージをよく見ておかなければなりませんね。

 

複数台充電できるUSB充電器の選び方と注意点

次によくハマるのはUSBジャックが複数あるUSB充電器を購入する場合です。iPhoneとiPad、またはAndroidスマホ・タブレットと、モバイルバッテリーやBluetoothイヤホンを同時充電したいので、USBジャックが3つ以上ある充電器を購入したいというニーズはよくありますよね。

パッケージや商品説明をよく見ると「合計○A対応」などと書かれています。これ重要なので絶対見逃さないでください。

分かりやすいように例えばiPhone 11とiPadの計2台を同時充電したいとします。どちらも2A以上の充電が基本なのに、充電器が「合計3A対応」であった場合、単純な話、アンペアが不足します。なので「充電できず多少の補給(給電)にしかならない」「充電できるがすごく遅い」ということになります。

いやいや今どきそんな馬鹿げた充電器が売ってるの?って思うじゃないですか。めちゃめちゃ多いんですよ。例えばこちらの充電器がそうですね。スペックには「2.4A (2ポート合計2.4A)」とあります。1台だけ繋ぐなら問題なしですが、2台同時に充電しようとすると1台あたり1.2Aしか行き渡りません。

なのでUSBポートが2つある充電器なら4.8A(24W)以上、3つある充電器なら7.2A(36W)以上の出力に対応している充電器を買うべきです。例えばこういうやつです。

もっと言うと、充電ケーブル選びも大切です。せっかく2.4A対応のUSB充電器を使っていても、質の悪いUSB充電ケーブルだと高アンペアに対応しておらず充電時間が余計にかかることがあります。iPhone・スマホの充電が遅い原因のひとつです。この場合は2.4A対応・3A対応と書かれている充電ケーブルを選びましょう。例えばこういうやつです。

以上、細かい理屈は置いとくとして、電流と電圧が大事なんだなということはご理解頂けたと思います。お次は最近よく聞く充電方式PowerDeliveryやQuickChargeについて確認します。

 

USB高速充電・給電規格のQuickCharge(クイックチャージ)について

ここから少しややこしくなるので、結論から言いますね。

結論①:Quick Charge対応の充電器・バッテリーを買うと幸せになれる人は、「一部を除くAndroidスマホ・タブレットを使っている人」である。

結論②:Quick Charge対応の充電器・バッテリーを買うなら、「Quick Charge 3.0かQuick Charge 4.0+」と書かれたものにすべきである。

結論③:Quick Charge対応の充電器・バッテリーを買う場合、iPhone・iPadユーザは、Quick Charge 4.0+以外は買ってはいけない

Quick Charge(クイックチャージ)とは、2013年より始まった、米国クアルコム社が開発したスマホ・タブレットを高速充電できる規格です。通常のUSB充電よりも数倍速くフル充電することが可能です。

通常のUSB充電では5V電圧を使用しますが、対応したモバイル端末に対してはより高電圧高電流で充電を行います。従来の高速充電はアンペアだけを上げていましたが、こちらではボルトも上げるわけです。しかし残念ながらQuick ChargeはiPhone・iPadなどのApple製品には対応していませんQuick Charge対応端末はSnapdragonを搭載した主にAndroid端末となります。ちなみにHUAWEIファーウェイのスマホはSnapDragonではなくKirinを使っているので非対応なはずです。

Quick Charge 1.0は5V/2Aの1段階、Quick Charge 2.0は5V/9V/12V/20Vの4段階(3A、2A、1.67A)、Quick Charge 3.0は200mV単位で変動で3.6V-20V(2.6A、4.6A)を使用します。Quick Charge 3.0以降は、端末のバッテリーの貯まり具合を感知しながら電圧を調整してくれるのでバッテリーにも優しい設計になっています。

Quick Charge 4.0は後述するPowerDelivery(USB PD)と互換性がありますがQuick Charge 3.0以前と互換性がなくなりました。Quick Charge 4.0+はQuick Charge 3.0以前と互換性があり、PowerDelivery(USB PD)とは概ね互換性があります。※Quick Charge 4.0+「概ね」としたのは、仕様が柔軟すぎて厳密にはUSB PD規格遵守ではないからです。普通の人は気にしないでください。

要するにQuick Charge規格とは、端末のバッテリー具合に応じて賢く電流電圧をコントロールして早く充電できるようにしたものですが、ここで買わない方がいいQuick Charge充電器は「Quick Charge4.0」規格のものです。

対象者はAndroidスマホ・タブレットでPowerDelivery(USB PD)に対応していない端末をお持ちの方です。理由は、充電が遅い(Quick Charge 3.0以前と互換性がない)からです。iPhoneやiPadはPowerDelivery(USB PD)に対応しているので、これらをお持ちの方は大丈夫です。Androidスマホ・タブレットを主にお使いの方は後述するPowerDeliveryよりも、Quick Charge 3.0の充電器のほうが高速充電できます。

ちなみにiPhoneX/8/8 Plus以降やiPad Proにある「高速充電」というのもあります。これはアップルによる規格のためアップル製品だけに対応している説もありますが、単純に5V-2Aを流せるからという方が有力です。

USB高速充電・給電規格のPowerDeliveryパワーデリバリーについて

これも少しややこしくなるので、結論から言いますね。

結論①:Power Delivery対応の充電器・バッテリーを買うと幸せになれる人は、「iPhone・iPad・最近のAndroidスマホ・タブレットを使っている人」である。

結論②:Power Delivery対応の充電器・バッテリーが使えるのは、USB Type-C同士の接続状態でなければならない。

USB Power Delivery(ユーエスビーパワーデリバリー)は最大100W(20V / 5A)という大電力を扱うことが出来ます。USB-PD、PD充電・PD給電などと称されることがあります。ここ1,2年以内に発売された一部のWindowsパソコンやMacbook Pro/Air/無印、iPhone・iPadなどのApple製品も対応しています。充電器というよりもACアダプターの方がしっくりきます。

USB-PDはUSBインプリメンターズ・フォーラム(USB-IF)というUSB規格を推進する非営利団体によるものです。USB-IFの取締役会はアップル、HP Inc.、インテル、マイクロソフト、ルネサスエレクトロニクス、STマイクロエレクトロニクス、そしてテキサス・インスツルメンツというそうそうたるメンツで構成されているため、事実上の業界基準となります。

USB-PDはUSB Type-Cポートに対応した給電規格の一つです。従来のUSB Type-Aなどのコネクタ規格では、電力線VBUSで数ワットの電力を流していましたが、USB Type-Cではそれとは別にUSB-PD通信線で最大100Wを流すことを可能としました。

例えばMacbook Airなどに対応した30W PD充電器・ACアダプターの場合は、5V-3A、9V-3A、15V-2A、20V-1.5Aの出力に対応しています。

ざっくり言えばQuick Chargeと似ていて、端末側が対応する電流電圧を検知して、最大の電流電圧を流すことで給電や高速な充電を可能とします。ただPowerDeliveryは高速充電が目的というよりも、従来のUSB給電規格を大きく超えて大電力を扱えることが主な趣旨と考えます。

USB-PDの面白いところは、対応したUSBハブを経由しても電力を供給できることにあります。例えば出力ポートがUSB Type-Cの一つしかないMacbook無印では、充電をしながら他のUSB機器をつなぐことができません。そのためUSB-PD対応のUSB Type-Cハブを使えば、ハブ経由で充電することが可能になります。例えばこういうやつです。

 

 

オススメのUSB充電器・USBケーブルのメーカーについて

これまで述べてきたアンペアやボルト、給電・充電方式を踏まえていれば、大手メーカー、例えばバッファローやアイオーデータ、エレコムなどのものでも問題ありません。ただし高い。めっちゃ高い。

なのでAmazonなどのネットでの購入が候補となりますが、個人的にはAnker(アンカー)の製品をオススメします。ガジェット好きの私としてはこれまで多くの充電器、ケーブル、バッテリーを購入してきましたが、耐久性、故障の少なさ、初期不良率、商品の質感、重量、過電流等の安全装置の充実、などなど総合的に見ると抜群だからです。

中国系の無名メーカーをみればAnkerよりも安い製品は沢山ありますが、なにしろ電気を扱う商品ですから、信頼性の高いメーカーのものを選びたいと思います。AUKEYやCheeroも個人的には高評価です。

 

まとめ

従来の5V-1A対応のUSB充電器が未だに広く販売されていますが、これから買うなら5V-2.4A対応のものを購入すべきというお話をさせて頂きました。

また、さらにPowerDeliveryやQuickChargeという規格があって、これからUSB-PD充電に対応したノートパソコンを購入するなら、PowerDelivery対応の充電器・ACアダプターを購入した方がよいことを説明させて頂きました。

なお、多少古い端末(5V-1A充電器が付属していたような端末)をお使いの方でも、5V-2.4Aの充電器・モバイルバッテリーにつないだからといって壊れることはありません。端末側が高アンペア高ボルトを受け付けないため可能な上限で充電してくれるからです。早い話、MacbookなどのPowerDelivery対応パソコンやiPad Proおよび一部のタブレットを除き、現行のiPhoneやAndroidスマホをお持ちの方は5V-2.4A(12W)を買っておけば間違いはない状態です。

PowerDeliveryとQuickChargeの充電速度の差や実際に充電した際のワット数などについては、USB電力チェッカーを購入したので今後追記していきたいと思います。

 

以上、ブログ「オニオン座」がお届けしました。最後までご覧下さり誠にありがとうございました。

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