この記事では、バイクを改造せずに音楽を楽しむ方法をご紹介します。以前書いた記事では、バイク用ヘルメットにBluetoothヘッドセットを仕込み、通話ではなく音楽を楽しむ方法をご紹介してました。ややニッチなネタではありましたが大変好評を頂きました。
インカムは「単体でツーリングでバイク仲間同士での無線通話」ができ、ヘッドセットは「スマートフォンやデジタルオーディオプレーヤーと無線接続をするもの」として本稿では区別していますが、ヘッドセットもスマートフォン経由で通話ができるということでトランシーバー代わりにもなると重宝されてますね。
そんな無線式のバイク用ヘッドセットですが、今回はBluetooth5.0対応のものを購入して実際に使ってみましたので、前モデルとの違いなどを交えてレビューさせて頂きます。
バイクヘルメットに簡単取り付けでき、音楽が聴けるBluetooth5.0対応ヘッドセットを試してみたレビュー話
前回の記事からふり返ります。何本か記事にしてますように、私はバイク一人旅、格好良く言うとソロツーリングが好きでして、連休があるとよく出かけています。無言のまま風景を見ながら風を感じたり、ちょっと考え事をしてみたりするのも好きなのですが、やはり長距離ドライブに音楽があると楽しさが数億倍になるわけで、どうにかバイクに乗りながら音楽を聴く方法を考えました。
バイクと言っても、私が乗っているのはホンダLEAD125という原付二種スクーターで、改造なしにスピーカーを設置する場所はありません。Bluetoothワイヤレススピーカーをコンビニ袋フックにかけてみたこともありますが、ヘルメットを被った自分に聞こえるボリュームを出そうとしたら周りにも爆音で音楽が聞こえてしまいます。流行の洋楽やEDMならともかく、aikoを爆音で流してもちょいと恥ずかしいものです。
ヘルメットの隙間にイヤホンを入れ込んでも使い勝手が悪いしシャカシャカしか聞こえない。ちゃんとイヤホンを耳に装着すると外の音が聞こえない。ヘルメットを改造して強度が落ちても困る。何か良い方法はないかと考えた結果、前回の記事の通りバイク用Bluetoothヘッドセットを使ってみたところ、便利だわ音もそこそこ良いわ、禿げ上がるほどマーベラスだったワケです。
ちなみに、ヘルメットに今回のようなヘッドセットスピーカーを仕込み、外の音が聞こえる程度に使う分には違法ではありません。道路交通法や各自治体の条例の違反にはなりません(全ての自治体条例をチェックしたわけではありませんが)。しかしイヤホンをしてバイクに乗ると、外の音が聞こえる聞こえないに関わらず、お巡りさんによってはソッコー違反切符を出される可能性がありますのでやめましょう。
というわけで、これが先代のバイク用Bluetoothヘッドセットがこちらです。
つい最近まで週1,2回ペースで1年ほど使ってきて、不具合もなくバッテリーもへたることなく順調に使えてますが、ひとつだけ不満がありました。
Bluetooth5.0対応のバイク用ワイヤレスヘッドセットはBluetooth4.0よりもいいの?
先代ヘッドセットの唯一の不満は、繁華街の通りを走っていると、たまに音の途切れが生じることです。Bluetoothの音切れの原因は、受信側(ヘッドセットやイヤホンなど)よりも、送信側(スマートフォンやデジタルオーディオプレーヤー)によるものが大きいと経験上分かっています。
しかし「もしかしたらBluetooth4.0では無線通信の安定度が足りないのか?」と思って購入したのが、Bluetooth5.0対応のバイク用ワイヤレスヘッドセットです。
Amazonより着弾したのがこちらのパッケージです。買うもの間違えたかというメルヘンな箱に驚きを隠せません。
パッケージ内容は、Bluetoothヘッドセット本体、充電用USBケーブル(USB Type-A → MicroUSB)、スピーカーカバー、マイクカバー、日本語ユーザーマニュアルでした。必要なものは全て揃っています。
見た目自体は以前買った機種と大差はありません。
今回購入したバイク用Bluetoothヘッドセットのスペックは次の通りです。通信範囲は実際にはこんな広くありませんが、バッテリーの持ちや充電時間は本当でした。
・Bluetoothバージョン:5.0+EDR
・Bluetooth通信周波数:2,402〜2,480GHz
・通信範囲:20〜30メートル(デバイスに依存)
・バッテリー:リチウムイオン電池 3.7V/180mA
・再生時間:最大8時間
・バッテリー充電電圧:5V
・充電時間:1.5時間
・スタンバイ時間:最大160時間
以前買った機種よりもリモコン兼マイクがやや小型になったかなと言う感じ。
充電はリモコン兼マイクの先っぽから行います。防水カバーが小さいくせにしっかりしていてやや開けづらい。デジタルオーディオプレーヤーとこのヘッドセットを有線で繋いで使うことはできないか試しましたが、やはりダメでした。無線専用でした。
スピーカーサイズも小さすぎず大きすぎず。500円玉を載せてみました。付属のスポンジカバーを付けると音がマイルドになります。
裏面にはマジックテープが付いています。
マジックテープの片面を剥がし、のりが付いた面をヘルメットのヘッドセット装着箇所へ貼り付けます。
私の使っているバイク用ヘルメットは、品質高く低価格な「ヤマハヘルメット YJ-20」です。これにはヘッドセットやインカムを装着するスペースとブームマイクを通す隙間があらかじめ用意されているので、取り付けが簡単です。
左右を繋ぐケーブルはこのように上の方に通すと、ヘルメットを着脱するときに邪魔になりません。
ちなみに、ヤマハヘルメットYJ-20は日本人向けに設計されているので、被ったときに違和感を感じづらいとは思いますが、しっかり作られていて特に頬の下の周りが若干タイトなため、1サイズ大きめを買ってもいいかもしれない。
ヘッドセットを取り付けたヘルメットはこんな感じになります。
さっそく被ってみました。部屋着のまま台所でバイクヘルメットを被って自撮りしていたら、嫁と娘に笑われたことは内緒です。ブームマイクの固さも長さもちょうど良く邪魔になりません。
バイク用BluetoothヘッドセットのBluetoothペアリング方法
ペアリングとは、スマホやデジタルオーディオプレーヤーなどの端末と、Bluetoothイヤホン・スピーカーなどを連携して通信できるようにするためのものです。このヘッドセットも一般的なBluetoothイヤホン・スピーカーなどと同じで、マニュアルを読まなくても戸惑うことはありませんでした。まずはバイク用ヘッドセットの電源ボタンを長押ししてパワーオンします。
次にペアリングしたいスマホやデジタルオーディオプレーヤーのBluetoothペアリングを開きます。ここではAndroidスマホを例に挙げますが、iPhoneなんかも「設定」の「Bluetooth」を開くことで設定が可能です。Androidスマホでは「設定」の「Bluetooth」にて「新しい機器とのペア設定を・・・」を選択します。
そうすると「MH04とペア設定しますか?」とメッセージが表示されますので、「ペア設定する」をタップします。もしかしたら製品ロットによってMH04ではないかもしれませんが。
こうすることでペアリングが完了となります。次回からは、バイクヘルメット用ベッドセット側の電源を入れるだけで自動ペアリングされます。
ちなみに、私が愛用しているデジタルオーディオプレーヤーでも同様にペアリングしてみました。デジタルオーディオプレーヤーでロスレス音源(ALAC 44.1kHz 16bit)をかけてみると、SBC 48KHz 16bitで再生されていることが分かりました。この手のBluetoothヘッドセットでは、AAC・AptX・AptX HDなどのコーデックには対応しておらず、Bluetooth標準とも言えるSBCにのみ対応しています。動画やゲームを鑑賞するときにSBCだと遅延が気になるかもしれませんが、音楽と通話を聴く程度なので問題ありません。
バイク用Bluetoothヘッドセットの音質レビュー
この手のヘッドセットのマニュアルやパッケージには、以前の機種同様に周波数特性やらダイナミックレンジやらは一切書かれていません。そもそもがオーディオ用ではなく通話用だからです。なにしろこれだけの機能と利便性がありながら2,000円そこそこというビックリプライスなわけで期待はしてませんけど、通話用だからってトランシーバーやインカムのように声の帯域しか聞こえないとしたら、「バイクで音楽を聴きまくる」という本件目的が達成できないわけです。とにかく気になるのは音質です。
とビビりながらも、デジタルオーディオプレーヤーとスマホで音質チェックをしてみます。音源ソースはいつも通り、Appleロスレスエンコード(ALAC)のaikoや和ジャズ、アニソン、葉加瀬太郎あたりです。最初からオーディオ機器基準で音質批評するつもりもありませんが、それなりに聴けるのでしょうか。恐る恐る再生してみます。
「あ、ええやん、ぜんぜん聴ける!」というのが第一印象です。
一番困るのは前述のとおり人の声しかほとんど聞こえない音質なのですが、けしてそんなことはありませんでした。携帯ラジオのスピーカーを耳の近くに持ってくるよりはずっと上質な音質でした。スッカスカのカッスカスでボーカルだけキンキンってのではなく、どこかの音域が突出して耳に刺さるとかなく、わりと自然に聴ける(聞き流せる)感覚を受けました。
もう少し音質について具体的に言うと、当然、重低音や高音倍音などの上と下は聞こえません。聴いた感じ、150Hz以下とか10kHz以上は私には感じられませんでした。でも、ちゃんとバスドラもバイオリンなどのストリングスもそれっぽく聴き取ることができます。もちろんボーカル音域は得意なようでして、期待以上のものでした。Bluetooth5.0というデジタル転送なこともあり、左右の音の分離(チャンネルセパレーション)も問題ありません。
総じて、以前使っていたバイク用Bluetoothヘッドセットよりも低音はおとなしめですが、むしろ音域が広く感じられます。
実際にバイクに乗りながらこいつで音楽を聴いてみましたが、風切り音が控えめと言われているヤマハYJ-20ヘルメットとの相性も良いようでボリュームを上げなくてもBGMとしては充分成立する音を聴くことができました。
また、Bluetooth5.0にしたことで4.0よりも音切れが減ったかどうかについて検証してみました。都内で音切れの激しい場所がいくつかありますが、そのなかで高田馬場駅の早稲田通りと交差する陸橋のあたりに行ってみました。その結果は、、、音切れは確かに軽減しました。4.0のヘッドセットではそのへんを通過するまでの間、時間にして10秒くらいは聴けたものではありませんでした。Bluetooth5.0でも音切れはありますが、プツプツといった具合でガマンできるレベルでした。
そして軽い音切れの生じていた渋谷や新宿などの交差点では、すっかり音切れしなくなりました。だいぶ改善できたのではと思います。
まとめ
バイクヘルメットに仕込むBluetoothヘッドセットを変えてみたら、若干ですがBluetoothヘッドセット特有の音の途切れが減りました。途切れるときは途切れるけど、私の環境では減った印象です。
走行中に一番大切なのは交通安全です。けして音楽に気を取られてはいけません、という大前提があるのですが、バイク走行中にもふわっとBGM的に音楽が聴けるのって本当に快適です。走りながら曲を聴きながら大声で歌うのもなかなか快感です。もはやカラオケボックス代わりですわ。これなら長距離ドライブや遠距離ツーリングも辛くありません。
ひとつ注意して頂きたいのは、バイク用ヘルメットによってはインカムやヘッドセットを入れるスペースがないものが存在することです。大型バイク乗りが使うような高級ヘルメットには大概インカムスペースがありますが、原付ユーザー向けの安価なヘルメットではあまりないかもしれません。
あと、この手のBluetoothヘッドセットでは携帯電話のハンズフリー通話にも対応していますので、ドライブしながら本来のヘッドセットのように会話を楽しむことが可能です。これは旅行ではなく日常でも充分便利です。2,000円そこそこでバイクが256億倍楽しくなるこんなヘッドセットはいかがでしょうか。
最後にひとつ、皆さまに謝罪しなければならないことがあります。それは「当記事で使われている写真は、左右逆に付けた状態で撮影してしまった」というものです。大変申し訳ありません。気がついた段階で写真を撮り直すモチベーションがなかったためそのままアップしてますが、正しくはマイク兼リモコンは左側に来ますのでご留意下さい。申し訳ないです。
それでは本日ご紹介したアイテムをふり返ります。主役のバイクヘルメット用Bluetoothヘッドセットがこちらです。
私が愛用しているバイク用ヘルメットがこちらです。全排気量対応で作りはしっかりしているのにかなりリーズナブルです。もちろんインカムスペースも備えています。
充電用のUSBケーブルは1mほどしかなく、ロングドライブでモバイルバッテリーに繋いで充電しながらヘッドセットを使用するには長さが足りません。これくらいの長さがあれば幸せになれます。
以上、ブログ「オニオン座」がお届けしました。最後までご覧下さり誠にありがとうございました。