カナル型イヤホンの交換用イヤーピース・イヤーチップのサイズと内寸・内径・口径をまとめてみた

数多くあるカナル式イヤホンのイヤーピース・イヤーチップを選ぶにあたって、皆さんがお使いのイヤホンと適合するか主要メーカーを網羅して確認出来る資料・サイトが少なかったので自分用に調べてみました。

この記事を書くキッカケとしては、最近は手頃でリケーブルの出来る中華イヤホンをちょくちょく買って音の違いを楽しんでいますが、数千円とは言えもうこれ以上散財するのもアレな状況でして、それならばイヤーピースを取り替えて楽しもうと思ったわけです。

目次

カナル型イヤホンの交換用イヤーピース・イヤーチップのサイズと内寸・内径・口径をまとめてみた

カナル型イヤホンのイヤーピース・イヤーチップとは

最近定番となっているカナル型イヤホン本体の耳にあたる柔らかい傘のようなかたちをした部分のことです。イヤーピースとイヤーチップは同じものでメーカーなどにより呼び名が違うだけです。

イヤーピースといえばイヤホンを買えば必ず付属しているのですが、実は交換することが出来て、イヤーピースの素材や種類によって大きく音が変わります。この記事をご覧の方はよくお分かりだと思いますけどね。

私のメインイヤホンは少し古いですがオーディオテクニカの銘機、ATH-IM04でして、付属のシリコンイヤーピースよりもサービスで付属していたコンプライのイヤーチップ(コンプライではイヤーチップと呼んでます)が大変気に入り、それ以降は他のイヤホンでもコンプライを使い続けていました。ですが最近はシリコンもいいなと思い、沼に入りつつあります。

イヤーピース・イヤーチップの素材と作りの違い

イヤーピースの素材については大きく2つに分かれます。1つ目はよくイヤホンに付属しているゴムのようなシリコン素材。もうひとつはスポンジのようなウレタン素材(フォームタイプ)です。

イヤホンに付属しているシリコン製のものは、たいていは外側(フランジ)の部分と音が通る軸(ダクト)の部分が一体成形または同じ素材で作られています。

一方、別売りしているシリコンイヤーピースでは、これらを別々の素材にしていることが多くあります。理由は、快適な装着性や音漏れを軽減する遮音性を実現したい外側と、音に影響なくイヤホン本体と接合すべき内側では素材に求める要件が異なるからです。

シリコンイヤーピースの特徴

  • 長時間使っても耳が痛くなりにくい。
  • 音漏れや外の音を遮断する遮音性が高くないので、環境音がうるさい場所には向いていない。
  • 音への影響が少ない。特に中音域や高音域の伸びが良くなる。

次にウレタンイヤーピースについては、高級イヤホンを除き、基本的に付属されていることはありません。

文字通り全体が高密度スポンジのようなウレタンでできていますが、コンプライ製品のように音への影響を押さえられるよう、内側にはシリコンゴムを埋め込んだタイプもあります。

ウレタンイヤーピースの特徴

  • 外の音を遮断する遮音性が高くノイズキャンセリングイヤホン並みとなることもある。騒音の中などでもボリュームをあまり上げずに済む。
  • 遮音性が高いので音漏れもしずらくなる。
  • 長時間使うと耳が痛くなることがある。
  • 中音域や高音域がやや抑えられ、相対的に低音域がリッチに聞こえるものがある。
  • 使っているうちにボロボロになっていく消耗品である。寿命は毎日使うなら3ヶ月がいいとこ。

というような具合です。一見、「ウレタンイヤピースって微妙?」と思われるかもしれませんが、遮音性が高いので無駄にボリュームを上げずに済み、耳に優しいばかりでなくイヤホンの持つ音を聞き取りやすいというメリットがなかなか魅力的なわけです。

シリコンイヤーピースとウレタン・フォームイヤーピースのどちらがご自分に合っているかという選び方については、音の好みだけでなく使用する環境にもよります。通勤通学中や外出先で使うことが多い方は遮音性の高いウレタン・フォーム、そうでない人はシリコンがまずは簡単な選び方となります。

イヤーピース・イヤーチップのサイズと軸の内寸・内径

イヤーピースの軸の内寸・内径(又はノズルの口径)と、イヤホン側のステム(軸・ノズル)の太さ・外径が合わないと、きつければ入らないor音がこもり、ユルければ抜けてしまうことになります。

イヤーピースの軸の内寸・内径に対して、イヤホン側のステム(軸)の太さ・外径は0.5〜1mmくらい太いものでも大丈夫です。モノによっては1.5mmくらいまで許容します。

イヤホン側のステムは測れば分かるし意外とメーカーでも公表していますが、なぜかイヤーピースのメーカーは大っぴらに軸の内寸・内径を公表していません。おそらく製造上の誤差や、改良による調整により多少の変化があるからなのでしょう。

ということで、主要イヤピースメーカーの軸の内寸・内径(又はノズルの口径)をまとめました。随時追加しまていきます。

Comply コンプライ TS-500など ー 【ポリウレタン】

ポリウレタンイヤピースで最も有名なコンプライ。数多くの特許を使用した低反発ポリウレタンフォームを使用しており、耳の中に優しく充填するような感覚です。ポリウレタンイヤピースのなかでは比較的通気性がよく、また耳への圧力が弱いため長時間の使用に耐えます。

ちなみにイヤピースのことをコンプライではイヤーチップと呼んでいます。コンプライの類似品もいくつか買いましたが耳が痛くなるものが多くて結局これに戻ってきます。

軸の内寸・内径(又はノズルの口径)は次の通りです。※書き切れないので偏ってます。

  • 100コアサイズは約3mm、SHURE 115/215/315など、KLIPSCH、WESTONEなどに対応。
  • 200コアサイズは約5mm、オーディオテクニカATH-CKR10、SONYなどに対応。
  • 400コアサイズは約5.5mm、オーディオテクニカCK*シリーズ、JVCのFR/FXシリーズ、ゼンハイザーなどに対応。
  • 500コアサイズは約4.5mm、オーディオテクニカIMシリーズ、
  • 600コアサイズは(調査中。おそらく6.0mmほどの最大径)、JBL Response, MONSTER iSport, SENNHEISER IE80, SOUNDPEATS QY他に対応。

形状も現時点で6タイプ用意されています。

  • T-type 最もスタンダードなプリン型の形状。初めての人はこれを買っておけば間違いない。
  • Ts-type 球形形状で音の出口側が広くなっており外形が短め。湾曲した外耳道を持つ日本人やアジア人でも中音域や高音域が減衰しずらい。短いので人によっては抜けやすいとも言われている。
  • P-type T-typeの外形を長くした形状。とにかく遮音性を高めたい人にお勧め。耳垢ガードモデル無し。
  • TW-type ワイヤレスイヤホン専用モデル。耳垢ガード&汗ガードモデルのみ。ユニバーサルサイズとなっていて軸が4.5mm〜5.5mm (200,400,500相当)まで伸縮し、幅広いワイヤレスイヤホンに対応。
  • TG-type ワイヤレスイヤホン専用モデル。TW-Typeを少し長くして耐久性と遮音性を向上。耳垢ガードモデル無し。軸サイズは200(約5mm)相当のみ。
  • SPORTS PRO-type 運動中など汗をかいたときにグリップ力が高くなるモデル。軸サイズはSmart Coreにより4.5mm〜5.5mm (200,400,500相当)まで伸縮し、幅広いイヤホンに対応。ぶっちゃけ不人気モデル。

品番は上記の掛け合わせとなるため、T-typeで300コアサイズの場合は、T-300という具合になります。

いくつかのタイプに耳垢ガードや汗ガードのついたモデルを用意しています。耳垢ガード付きのモデルは品番にxが付きますので、T-typeであればTx-300などになります。

他社イヤピースには耳垢ガードのあるモデルはほとんどないため希少です。ガードがあると若干中音域や高音域が抑えられますが、大切なイヤホンを不具合から守りたい方にも人気です。

Spiraldot スパイラルドット EP-FX9 ー JVCケンウッド【シリコン】

超有名なシリコンイヤピースです。軸の内側にドット(くぼみ)があって、音の広がりや余韻に特徴があります。シリコンは外側も内側の軸も一体成形となっていますが、比較的安価なので初めての方はとりあえずコレ買っておけ的なモデルです。

スパイラルドットの軸の内寸・内径は4.5mmと言われていますので、イヤホン側は5.0〜5.5mmのステムのものに適合します。

スパイラルドット自体の外径サイズ展開は、約10mmのSサイズから約14mmのLサイズまで1mm刻みであります。MサイズにもML(約13mm),M(約12mm),MS(約11mm)と3サイズあるのでお気に入りのものをお使い下さい。

Spiraldot++ スパイラルドット++EP-FX10ー JVCケンウッド【シリコン】

スパイラルドットの上位バージョンとも言えます。スパイラルドットは一体成形でしたが、スパイラルドット++は外側がSMP iFit、内側の軸がシリコンというハイブリッドとなっています。通常のシリコンよりも遮音性が高いとのこと。

スパイラルドット++の軸の内寸・内径は4.5mmと言われていますので、イヤホン側は5.0〜5.5mmのステムのものに適合します。

スパイラルドット++自体の外径サイズ展開は、約10mmのSサイズから約14mmのLサイズまで1mm刻みであります。MサイズにもML(約13mm),M(約12mm),MS(約11mm)と3サイズあるのでお気に入りのものをお使い下さい。

ちなみに全体がSMP iFitであったスパイラルドット+はメーカーのサイトからも消えています。

SpinFit スピンフィット CP100・CP145・CP800など ーSpinFit(台湾)【シリコン】

基本的にフランジとダクトが別素材となっているタイプです。実は最近買ったイヤーピースのなかで一番のお気に入りです。以前は高コスパイヤホン「ドングリ」を販売する茶楽音人(さらうんど)が代理店として扱っていましたが、今では直販になっているようです。

ダクトは伸縮性が高めなので、イヤホン側のステム(ノズル)よりも0.5〜1.0mm小さめのタイプが適合します。

SpinFitは一部モデルを除きフランジのサイズがやや小さいため、通常はMサイズを使われている方はLサイズをお求めになることをお勧めします。

*シングルフランジ

  • CP100 ノズル内径は3.8mmの標準軸。シリコンの傘が長め。適合するイヤホンのステムサイズは4.5〜5.0mm。audio-technica/SONY/Panasonicなど
  • CP145 ノズル内径は4.5mm。適合するイヤホンのステムサイズは5.0〜6.0mm
  • CP155 ノズル内径は5.5mm。適合するイヤホンのステムサイズは6.0〜7.0mm。Comply600相当。ERATO VERSE等
  • CP500 ノズル内径は5.5mm。適合するイヤホンのステムサイズは6.0〜7.0mm。チューブ内部に固定槽がありステム部分先端が太いイヤホンと相性が良い。final E1000/E3000、JVC HA-FW10000/HA-FX1100などに対応
  • CP800 ノズル内径は2.0mmの細軸。適合するイヤホンのステムサイズは3.0〜3.5mm。SHUREやWestoneに対応

*完全ワイヤレスイヤホンに向けシングルフランジ

  • CP100Z ノズル内径は4.0mm。適合するイヤホンのステムサイズは4.5〜5.0mm。Comply160相当。トゥルーワイヤレスイヤホン(B&O Play E8,NuForce BE Free8,ONKYO W800BT等)向け
  • CP350 ノズル内径は5.0mm。適合するイヤホンのステムサイズは4.5〜5.0mm。Comply160相当。NuForce BE Free8などに対応。
  • CP360 ノズル内径は3.6mm。適合するイヤホンのステムサイズは4.0〜5.5mm。アレルギーの出にくい医療用シリコンを採用。AVIOT、Jabra、SENNHEISER、SONY、B&O、SOL REPUBLIC、Pioneer、RHA、JVC、NuForceなど数多くのメーカーの完全ワイヤレスイヤホンに適合

*ダブルフランジ(ツインブレード)

  • CP230 ノズル内径は5.5mm。Comply600相当。Mサイズのみ。NuForce BE Sport3に対応。
  • CP240 ノズル内径は4.0mm。適合するイヤホンのステムサイズは4.5〜5.0mm。付属のアダプタノズルでノズル内径は3.0mm。適合するイヤホンのステムサイズは約3.3mmの細軸にも対応。

 

まとめ

とりあえず3つのイヤピース・イヤチップメーカーのモデルを書いたところで心が折れました。調べるのが本当に大変なので、ぶっちゃけ一旦は書きかけで公開します。

今回は、当ブログオニオン座において数多くのイヤホン関連記事を書いてきて、イヤピース・イヤチップのご紹介は避けて通れないと思っていましたが、自分自身調べる必要性が生じたのでついでに記事にしてみました。

ともあれ、数百円〜2,000円くらいのイヤピース・イヤチップを交換するだけで驚くほど音が良くなったり、遮音性が高まって外でも音楽が楽しめるようになったりするわけで、高いイヤホンに買い換えたり、イヤホンケーブルを交換したりする前に一度お試しあれ。

 

以上、ブログ「オニオン座」がお届けしました。最後までご覧下さり誠にありがとうございました。

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