【イヤホンレビュー】Technics EAH-AZ60 の音質とBluetoothマルチポイントの魅力

これまではデジタルオーディオプレーヤーに有線イヤホンをつないで使用していましたが、コロナ禍が明けて外出の機会が増えてきました。そんな外出先でTWSイヤホン(左右分離型・トゥルーワイヤレスサウンドイヤホン)が非常に便利です。

普段、私はコスパ的に有線イヤホンを好んで使っていますが、さっと取り出して動画を観たり、音質こだわらずBGMが欲しいときがあり、少し古いTWSイヤホンを使っていました。一時期、Apple AirPods Proも買ってみたけどノイキャン性能以外は残念だったので手放し、ゼンハイザーやSOUNDPEATSなどの安物でガマンしてました。

しかし、せっかく使うならいい音で聴きたい。TWSイヤホンだって音にガマンしたくない。でもBluetoothの切替が不便だなあと悩んでました。そんななか、少し探していたら「Bluetoothマルチポイント」という機能が一部のBluetoothイヤホンやDACにてあることを知りました。

結果、このBluetoothマルチポイントに対応したTechnics EAH-AZ60を購入するに至りましたので、このTWSイヤホンのサウンドレビューとともに、Bluetoothマルチポイントのメリットデメリットをご紹介します。

目次

【イヤホンレビュー】Technics EAH-AZ60 の音質とBluetoothマルチポイントの魅力

TWSイヤホン Technics EAH-AZ60の商品レビュー

というわけで我が家に着弾したTechnics EAH-AZ60イヤホンがこちら。色はブラックとシルバーの2種類あります。

Technics(テクニクス)といえば、今から約60年前、古くは松下電器(ナショナル)の頃からオーディオブランドとして存在していました。もちろん現在でもそのブランドが残っていて、特に知名度が高いのはDJ界隈で未だに人気のアナログプレイヤーSL1200シリーズでしょうか。

古参のオーディオ好きとしては、PanasonicではなくTechnicsで出しているところから製品へのホンキを感じますね。実際にこのTechnicsのTWSイヤホンは非常に音質に関する評判がよくて、さらにLDACが使える上にBluetoothマルチポイントにも対応してるんですからね。

というわけで執筆時点では一つ型落ちとはなりますが、あえて値下がりしたEAH-AZ60を購入してみました。スペックはこんな感じです。

Technics EAH-AZ60 スペック
ドライバー 8mm ダイナミック型(密閉式)
再生時間 本体のみ約7.0時間/充電ケース含む約24時間(いずれもノイズキャンセリングON、AAC
質量 7g(本体片側)
Bluetoothコーデック LDAC、SBC、AAC
ノイズキャンセリング 有り(アクティブ)
Bluetoothマルチポイント 有り(最大2台)
ハンズフリー通話機能 有り(ビームフォーミング・風切り音対策有り)
防水性能 IPX4相当

 

まずはEAH-AZ60のパッケージを開けてみます。同梱内容は イヤホン本体、バッテリー内蔵ケース、イヤピース6組(XS〜LLサイズ)、あとは簡単なドキュメントです。イヤピースがたくさん付属しているので、耳の小さい方でも安心ですね。

ケースからイヤホン本体を出してみました。イヤホン本体は すごく小さいとは言えませんが耳に入れると 外耳を塞ぐような形になっており見るからに遮音性の高い構造になっています。

実際に耳に入れるとこんな感じです。食事中の人、ボサボサ&白髪多くてすまんな。

ゼンハイザーCX400BTというMomentumシリーズの廉価版も持ってるので並べてみたらサイズはだいたい一緒くらいでした。

イヤーピースを外してみました このイヤーピースは二重構造のシリコンとなっており内側が硬く外側が柔らかいため、フィット感がありながら音へ悪影響を与えないようになっています。オマケというより市販されてておかしくない質感です。またステム(ノズル)は短すぎないためサードパーティーのイヤーピースも使えそうです。

わざとイヤーピースをひとつ裏返してみた。耳垢ガード付きのハイブリッドイヤーピースなことがよく分かる。

わざとイヤーピースをひとつ裏返してみた。耳垢ガード付きのハイブリッドイヤーピースなことがよく分かる。

もう一度ゼンハイザーCX400BTと並べてみました。イヤホン本体の大きさは ゼンハイザーよりも気持ち小さい程度でほぼ一緒。ケースも体積的にはほぼ変わらないレベルですが、薄い分だけEAH-AZ60の方がポケットに収まりやすいかな。

あと詳しくは紙面の都合で割愛しますが、純正の無料アプリも使いやすくて非常によきです(インストールしなくても使えますが)。もちろん日本語表記で導線や解説がわかりやすく安定もしています。

Bluetoothマルチポイントのメリットとデメリット

このTWSイヤホンEAH-AZ60では、2台のデバイスとBluetooth接続し、同時待ち受けすることができる「Bluetoothマルチポイント」に対応しています

一般的なBluetoothイヤホンでは 複数のスマホやタブレットパソコンなどと一緒に使う場合、いちいちBluetooth接続を解除しなければなりませんでした。例えばパソコンで動画を視聴しているとき、スマホに電話の着信があったらパソコン側で切断またはBluetoothをオフにして、スマホでBluetooth接続しなければなりませんでした。

ところがお手持ちのBluetooth機器(イヤホン・DACなど)がマルチポイントに対応していると話が違います。複数台(多くは2台)とBluetooth接続をしたままにすることができ、「音を出している方」に切り替わってくれます。

実際に使ってみると、パソコンとスマホの両方とBluetooth接続をしておき、動画の音声が出ているうちはパソコン側の音が聞こえます。で、スマホにて電話着信があると自動的にパソコン側の動画が一次停止状態となり、かつスマホ側の音が聞こえるようになります。

これね、本当に便利なの。今回実際に使ってみてわかったの

私、よくNetflixでアニメを観ながら一人呑みをするんですけどね、スマホのLINE電話が鳴っても気づけないし、気づいた時もなんだか慌ててしまうんです。まあイヤホン外して受話器で話せばええやん?なんですが、そのままシームレスに電話に出れるわけです。

しかもすごいのが、AndroidとiPhoneだったり、iPhoneとパソコンだったりデバイスの組み合わせは自由な点です。端末側はマルチポイント対応はなく、Bluetoothを受信する側(繰り返しますが、イヤホンやDAC)だけが対応してればいい。以上がBluetoothマルチポイントのメリットです。

逆にデメリットはというと特に見当たりませんが、ニッチなときに不便なことはあります。例えば、iPadで動画を観ながらEAH-AZ60で音を聴いている時、スマホでX(旧Twitter)を観ていたりする場合です。

X(旧Twitter)でスクロールする→たまたま動画のポストが表示される→動画の音をミュートしているのにEAH-AZ60がスマホ側に切り替わってしまう。ということです。

つまり、後出し側に音声が切り替わるというBluetoothマルチポイントの特性により、勝手に自動切り替えされる場合がある、ということですね。これがデメリットというか、ときに不便に思う点です。

なお、執筆時点でこのBluetoothマルチポイントに対応しているイヤホンはまだまだ少なく、国内メーカーではTechnics以外では多くありません。ただし、たぶん一番売れてるソニーのWF-1000XM5は対応しています。さすがやな。

ちなみに同じく執筆時点、Bluetoothマルチポイントの最大切替端末は一般的には最大2台のようですが、EAH-AZ60の後継機であるEAH-AZ60m2やAZ80はなんと3台のマルチポイントが可能です(LDACでは最大2台)

 

TWSイヤホン Technics EAH-AZ60のサウンドレビュー

順序が逆となりましたが、EAH-AZ60のサウンドチェックをしていきます。

今さら一世代前のEAH-AZ60のサウンドレビューしてどうやねん?と思いましたが、現行のEAH-AZ60m2と上位機種EAH-AZ80、そして今後発売されるであろうEAH-AZ60m3の参考にもなるかな?と思い、ご紹介します。

プレイヤーは、LDACに対応しているソニーXperia 1Ⅱです。BluetoothイヤホンではプレイヤーのDACを使わないのでスマホで十分だからです。なので、あえて愛用DAPのウォークマンNW-ZX707は今回使いません。

ソースはAmazonミュージックのハイレゾ音源を中心に、リッピングしたFLAC音源など混ぜこぜです。

まずはエージングなしの箱だしの音質を聴いてみたい…と思ったらバッテリーが空っぽでした。こういうデバイスってたいてい半分くらいは充電してあるもんですが?自然放電しちゃったかな。

気を取り直し、しばらく充電してから付属のイヤピースで聴いてみます。一曲目はAmazonミュージックから、fhanaのベストアルバム「There Is The Light」から「Ethos」(96kHz/24bit)でした。

え??え?ええやんなにこれ?は?

リバーブたっぷりで始まるイントロの壮大な空間、towanaのなめらかなでゾクゾクっとする声、量感多めのバスドラとベースにも埋もれないスネアのゴーストやタム、とにかく広い音場のなかで定位もしっかりしてて全てが聞き分けられるし融和してる。私的に完璧やん?箱出しでこんな音してくれてんの?

ここ数年買ってきたイヤホンって有線無線問わずエージングなしではダメダメだったのです。でもこのEAH-AZ60は買ってスグにまともな音してて驚きました。エージング済みで売られてるんじゃね?と思うほど。これならプレゼントしてもいきなり良い音なのでもらった人も嬉しいでしょうね。

気を取り直し(本日2度目)、数日かけて様々な楽曲を聴いてみたEAH-AZ60の音質はこんな感じでした。

・バランス的には、ややドンシャリ。
・高音は刺さらないが抜け感はそこそこある。
・低音はふくよかだが歯切れ良い。
・音場は広め。今まで買ったBluetoothイヤホン全てと比べて最も広い。
・女性ボーカルは近すぎず遠すぎず、口は小さめだが存在感は十分。
・全般的にすごい解像度が高いわけではないけど、分解能というか各パートの音がしっかり聞こえる。

総合的には、とても丁寧なリスニングイヤホンという印象。ややウェットだが解像度感は感じるし、上と下の持ち上げも含め、濃すぎず薄すぎずの本当に絶妙なチューニングバランス。さらに音場と定位は素晴らしく、音が団子になっていないのでどのジャンルでも各パートを聞き分けられて本当に楽しい。

ソニーやゼンハイザーはもっと高域の抜け感が強く、キラキラした高音と言われることもいですが、私は耳が疲れます。このへんもEAH-AZ60のチューニングは絶妙で、聴いていて疲れないけど不満もない、というものでした。なにより「ボリュームを上げてもうるさくない」というピュアオーディオの片鱗すら見せていました。

少しピュア的な聴き方をしてしまうと200Hzあたりにクセがありますが、これが外で使う時に低音の存在感を担保してくれています。なので「外で聴くと低音スカスカなんだよな」がありません。とはいえ、低音ゴリゴリなわけでなくライブっぽい印象で音楽が楽しいです。ダイナミック型ドライバーの良さを存分に発揮している感が半端ない。

つまり、EAH-AZ60は、個人的にイヤホンに求める要素が全て揃っていた。いやそれが言い過ぎだとしたら「TWSイヤホンでこれ以上はいらない」と私は思いました。

貧乏オーディオマニアである私が、それっぽく本当に厳しめに言えば、中低音の分解能や低音の重心はもう少し欲しいけど、発売当時で3万円以下、生産終了後も2万円前後という価格を考えると驚きでしかありません。後継機種であるEAH-AZ60m2やEAH-AZ80に期待かな。

しかし、Technicsは2〜3万円くらいで買える有線イヤホンも発売してくれないかな。きっと完全自社開発ユニットは作れない(作らない)だろうけど、きっと良い作品だと思うの。

最後にノイズキャンセリングについてもちょっとだけお話ししておきます。おおざっぱなノイキャン性能は1万円くらいのTWSよりは上、WF-1000XM5やBOSE、Apple AirPods Proあたりよりはちょい下かな。

ただし、ノイキャンの効き方がすごく自然で、移動中だとノイキャンがオンであることを忘れるレベルです。それくらい、耳が詰まった感がありません。実際に地下鉄に乗ると、車内アナウンスはわりと聞こえちゃうけど、騒音がすごく抑えられる感じ。安全で使いやすいと思いました。

(オマケ)TWSイヤホンのカラビナ付きシリコンケースが意外といいぞ

Amazonあたりだと1,000円くらいでカラビナ付きシリコンケースが売られています。怪しい中華メーカーばかりなので敬遠してましたが、先日購入した普段使い用のSOUNDPEATSのTWSイヤホン用に使ってみて悪くなかったのです。

SOUNDPEATSのケースはカラビナをジーンズのベルト紐にかけて使っていますが、シリコンが簡単にちぎれたりせず、思った以上に丈夫だったんですよね。なのでEAH-AZ60にも同じようなやつを買ってみました。

私が選んだのは赤色のでした。ストラップも付いてましたが、私はカラビナだけを使います。

シリコンケースにEAH-AZ60を入れてみるとこんな感じでした。ぴったりんこです。フタの部分は両面テープが貼られていたので普通に使えます。

充電も支障ないよう穴が空いてます。表側もケースの充電ランプが見えるようになってますので問題ありません。しばらくこいつを使っていきたいと思います。裸で使って紛失するのイヤですからね。

 

 

まとめ

部品コストを考えると、音質に関するコスパが高いとは言えないTWSイヤホンですが、音が良く、かつ使い勝手のよいものを探していました。何も最新型でなくてもよかったので、一世代型落ちのEAH-AZ60を買ってみました。

EAH-AZ60のサウンドは、一言で言えば「分かりやすく、使いやすく、誰からも好まれる楽しい高音質」であって、コスパ的に不利なTWSイヤホンの価値観を変えるほどでした。

この記事をリリースして皆さんがご覧になる頃には、きっとEAH-AZ60は市場から消えてしまっていることでしょう。後継機のEAH-AZ60m2は、EAH-AZ60の良さはそのままにイコライザーバイパスによる高音質やBluetoothマルチポイントを最大3台に増やすなど正統進化していることと思います。買わなくてもいいから、ぜひ聴いてみてほしいです。

最後までご覧くださりありがとうございました。ブログ「オニオン座」がお届けしました。

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